「フリーランスの案件でトラブルになったら、どうなってしまうんだろう……」

「契約書なんて大げさだし、チャットで決めたことで十分じゃないか」

そんなふうに思いながら、副業の案件を受け始めていませんか?

私は会社員のまま、副業で Shopify の構築案件を受けてきました。

そして一度、契約書なしで受けた案件で、訴訟の寸前まで行ってしまったことがあります。

今回は、そのときに何が起きて、どう収束させて、そのあと進め方をどう変えたのか。

綺麗事抜きで、私の体験をそのままお話しします。

フリーランスのトラブルに直面していた頃

契約書なしで、何となく始まった案件

実は、きちんとした契約書を経由する案件のほうが少なかったんです。

個人や中小企業が相手だと、チャットやビデオ通話での取り決めが、そのまま契約の代わりになることが多くありました。

トラブルになったのも、一度「契約書なし」で受けた案件でした。

クライアント様と、間に入っている会社と、作業者の私たち。

この三者の間で、納期の認識に大きなずれがありました。

でも、そのずれは私たちに一切伝えられていなかったんです。

知らぬ間に、納期を過ぎていたという現実

途中から、間に入っている会社からの連絡が途切れがちになりました。

パートナーのエンジニアだけで案件が進んでいくような状態です。

そして、まだ実装し始めの段階なのに、本当の納期はすでに過ぎていました。

クライアント様が騒いで、ようやくそれが分かった。

知らぬ間に納期オーバーを起こしていた、という形です。

クレームが入っても、認識が合わなかった理由

クライアント様からクレームが入りました。

それでも関係者の間で認識が合わず、メンバーもうまく動けない。

納期そのものが曖昧だったので、誰も「本当はいつまでだったのか」を書面で示せなかったんです。

そこから、訴訟の寸前まで行ってしまいました。

炎上を食い止めるために、私は何日か徹夜して、ひたすらごりごり作業を進め、なんとか納品まではたどり着いています。

内容証明の下書きが届いたときの後悔

訴訟の寸前まで行ったこの案件で、最初のトリガーとなる「内容証明」という文章の下書きが、送られてきていました。

それを最初に見たとき、正直「生きた心地がしなかった」です。

そして、後悔しました。

あらかじめ決まっていた納期について、関係者に認識さえあれば、十分に間に合う案件だったんです。

「契約書がないがために、こんなことになってしまった」

そう思いました。

誠実な態度と対応を見せることを選んだ理由

最終的に、収束させるうえで重要だったのは「誠実な態度と対応を見せること」でした。

遅れがあったのは事実です。

だからこそ、その状況からいかに回復できるか、ということだけを考えました。

言い訳を重ねるのではなく、ひたすらクライアント様の要求に答えていきました。

間に入った会社の見立てと、私が感じたこと

一方で、間に入っている会社は、たかを括っていました。

「この程度の案件では、訴訟しても金額としては全く取り返せない。こちら側の工数と相殺される」

そういう考えだったんです。

私自身も、実際に被害が出るくらいまで行かなければ訴訟は起こらない、ということは少し感じていました。

フリーランスのトラブルを防ぐ具体策

書面の契約書を前提にした理由

この炎上のあと、私は書面での契約書の締結を前提にしました。

契約書を結ぶほどの規模ではない軽い改修や修正作業のときは、契約に相当するチャットの文面やビデオ通話の録音を残して、証跡にしていました。

個人相手の案件や中小企業の案件では、チャットの文面だけで合意して、それが契約書の代わりになってしまうことがあります。

そうなると、曖昧な状況のまま案件が始まってしまう。

私のトラブルは、まさにその形で起きていました。

さらに、契約書もAIに読み込ませて、個人事業主の側が一方的に不利になっている点がないかを洗い出すようにしました。

場合によっては修正を求めて、お互いが納得してから、やっと案件を始める。

前置きの段階で安全策を固める進め方に変わっていきました。

書面ですり合わせた「重要な事項」を見極める

すり合わせたのは、次の項目です。

  • 損害賠償
  • 納期
  • 受注金額
  • 支払い条件と時期

中でも、必ず確認していたのが損害賠償です。

「仮に制作物が原因で損害が発生した際には、受注金額を上限として損害賠償を支払う」

この形になっているかを、必ずチェックして、なっていなければ修正をお願いしていました。

裏を返せば、何か不利益が出たら、ただ働きになって納品だけするという覚悟でもありました。

「機会損失まで含む」損害は飲めなかったという理由

よくあるのが、制作物によって発生した損害について、損害賠償を支払うと書かれていることです。

しかもその損害の範囲に、「機会損失」という実際には発生していない損害まで含まれている。

それを個人が背負うのは、バランスが悪すぎると感じていました。

修正は、理由を添えずに変えてほしい箇所だけを伝えた

修正のお願いは、正直に伝えました。

特に理由は述べず、「ここの文章を、このように変更してほしい」とだけ伝えていました。

応じてくれたのは、私の経験では半分ほどです。

個人と契約したことがある相手は、おそらく同じような修正を何回か経験していて、「いつものあれか」という感覚で、さくっと直してくれました。

難色を示す相手からは、「顧問弁護士に相談しないといけない」「前例がない」「他の人はみんなこの契約書で結んでいる」といった言葉が返ってきました。

渋られたら契約しないという判断

渋られたときは、シンプルに契約しないだけです。

契約しなければ案件は始まらないので、そこで終わりです。

そうやって流れてしまったクライアント様とは、もう二度と案件を受けられない雰囲気にもなります。

それでも「ご縁がなかった」と受け止めて、後悔せずに次の案件を探し始めました。

収入に大きな影響はありませんでした。

駄目なら次と、募集や営業をかけていけばいいだけでした。

支払い条件と時期を書面にしたもう一つの理由

支払い条件と時期をはっきりさせるようになった背景には、未払いもあります。

50万円で受けていた案件で、分割にしてほしいと言われ、半分を受け取ったあと、残りが支払われなくなりました。

最終的に、私は残りの20万円ほどを取り戻さずに、次の案件へ切り替えています。

こちらも書面の契約がなく、ビデオ通話での会話が契約の内容の代わりだったので、証跡として何も残っていませんでした。

そのときの経緯は、フリーランスの報酬未払い、残り20万円ほどを私は取り戻しませんでしたに詳しく書いています。

先に作業できる状態を作ってくる相手を見極める

契約を曖昧にしそうな相手には、共通点がありました。

話し合いよりも先に、実作業を進めようとすることです。

まだ見積もりや契約の話の途中なのに、プロジェクトのグループチャットや、作業対象の EC の管理画面に招待してくる。

作業を始めているのかどうかの境界線が曖昧になるので、怪しいと感じていました。

そういうときは、招待は届いたままにして、中には入りませんでした。

契約が明確になるまでは、作業を始められる状態にしない。機械的にそう対策していました。

ただ、それで急かされたことは、案外ありません。

振り返ると、お客様が忙しすぎて、話し合いと招待を一回にまとめて済ませていただけなんだろうとも思います。

契約書に行き着く前の、案件そのものの見極めについては、副業詐欺の見分け方にまとめています。

契約を意識するお客様ほど、支払いもしっかりしているという気づき

やってみて分かったのは、契約をしっかり意識しているお客様ほど、支払いもしっかりしてくれる傾向が高いということです。

逆に、契約を曖昧にして進めるお客様ほど、支払いも曖昧にすることが多かった。

契約書を求めることは、相手を見極めることでもありました。

案件の受け方や見積もりの考え方は、Shopify構築代行の現実にも書いています。

まとめ:フリーランスのトラブルは怖い。だからこそ、始める前に書面で固めてほしい

遅れもありました。

それでも、あらかじめ決まっていた納期について関係者に認識さえあれば、十分に間に合う案件でした。

契約書がないがために、内容証明の下書きを受け取り、訴訟の寸前まで行ってしまいました。

それからは、基本的に書面の契約書を結んでから案件を始めるようにしています。

「契約書なんて大げさ」と感じているなら、まずは納期・受注金額・支払い条件と時期・損害賠償の4つだけでも、書面ですり合わせてから始めてみてください。